危い医療制度
'17.07.192014年度の国民医療費は40兆円強となり、介護給付費は、10兆円と合わせて50兆円を突破しました。国民総生産(GDP)比は、早くも、節目の10%に達し、医療介護費は経済成長を上回って膨張しており、制度の持続性が危くなっています。
そのような状況のとき、ある新聞に次のような記事が載っていました。[健保の4分の1解散危機]、2025年までに大企業の健康保険組合の4分の1は、解散の危機に追い込まれるというものです。保険料は企業と従業員が、原則、折半しています。それを、現役加入者へ医療費として使われるのですが、そのほかに、65歳以上の高齢者医療費にも多額の保険料を仕送りすることになっています。健康保険組合連合会によると、17年度、全組合の7割で赤字の見通しとなるということです。試算によると。25年度には、組合員向けの医療費を仕送り分が逆転するということです。支援金の負担方法は、総報酬制という仕組みに今年度から、全面的に切り替わり、加入者の人数に応じて計算していたのが、新方式では算定の基準が収入に変わり、収入の高い加入者が多い大企業へのしわ寄せが強くなりました。比較的財政の余裕のある組合がより多く支援金を負担し、取りやすいところから取る安易な方法になっています。健康組合の保険料収入のうち、既に半分近くが高齢者医療への支援金に強制的に回されて入るという現実は、加入者の相互扶助を目指した保険とは言えなくなっているといえます。いつまでも、抜本的な政策をせず、その場しのぎの方策をしていれば、国民皆保険の持続性が危くなります。高齢者の負担適正化や無駄の排除など医療費抑制の政策を強力に推し進めなければならない時期がまさに来ているのです。
文:H.F