歯科医師コラム

治療に適した時期と親心

'17.06.17

5歳になる娘は反対咬合だ。赤ちゃんの頃、下顎にかわいい前歯が顔を出したな、と思い毎日ながめていた。う~ん、何だか気になる。まだ数ミリしか生えていないけれど、生えている位置が通常より前にある??下顎も前に出ているような気もする。運命を決める上の前歯が生えてきた。ガーン!やっぱり反対咬合だ。

 

ちなみに11歳になる息子も叢生+過蓋咬合。何の因果か、うちの2人の子供は歯並びが悪い。周りの人からは、”いいじゃない、自分のところで治療すれば、治療費かからないでしょ?!”と言われる。いやいや、たしかにそれも大事な問題には違いないけれど、自分が親の立場だと問題の中心はそこじゃない。

 

娘はこの年頃の女の子の例にもれず、かわいいお姫様になりたいと思っている。自分でも歯並びが気になっているらしく ”ママ、これ いつ なおるの???” と訊かれてしまった。見た目的に私もとても気になってはいるが、”まだ装置使うの早いからね”、と言って経過をみている。

 

近年、1歳にならないようなお子さんの歯並びが気になると言ってお連れになる親御さんが増えてきた気がする。娘が生まれる前は、”まだまだ矯正治療という年齢ではないですよ”、と答えながら、”こんなに小さいうちから治療したいのかなぁ…最近の親御さんは熱心だなぁ…” なんて呑気に思っていた。

 

ところがところが。いざ自分の子供が反対咬合だと、気になる気になる! まだ治療開始には早いと頭では分かっていても、不憫にみえて心が納得してくれない。子を持って知る親の恩ならぬ、子を持って知る親の心配ということか。

 

”ご心配だと思いますが、今はまだ見守るしかありません。反対咬合には治療に適した時期があるので、それを逃さないように、これから注意深く経過をみていきましょうね”

 

その言葉は毎回、私自身への声かけにもなっている。

 

文:hanimalu