歯科医師コラム

技術革新で仕事がなくなる?

'15.02.03

(「週刊現代」2014年11月1日号より)
「オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」702業種を徹底調査してわかったこと」
昨年11月にこのような記事を見つけました。コンピューターの技術革新が凄まじく、人の仕事が機会に取って代わられる未来を予想した記事です。
どんな職種があげられているかと言えば、銀行員、スポーツ審判、電話オペレーター、レジ係、税金申告代行業、等々。
医療分野も無関係ではいられません。今の心電図計は異常があれば教えてくれます。 “病院ロボット“というものがすでに稼働しているところあるそうで、食事の配膳や処方薬を運搬してくれるそうです。
最近は3Dプリンターの医科応用が盛んに研究されています。手術用のレプリカ作成により、術前の診断や治療法表、手術の予測がしやすくなります。
歯科の分野でも技術革新は目覚ましく、歯科用CTには、インプラント診断機能がついており、メーカーを指定すると、フィクスチャーの埋入位置や長さ等指示してくれます。歯科矯正の分野でも、ブラケットを使わないスプリントによる歯科矯正が行われています。今年はCAD/CAM冠が保険診療に導入され、工作機械による診療も本格化しました。
3Dプリンターの登場により、物作りの根本が変わったとも言われています。最新の研究では、生きた培養細胞を3Dプリンターで立体的に再現することが実験的には成功しているようですし。
話は戻りますが、“消える職業”の中に、“義歯作成技術者”というのがありました。歯科技工士のことですね。最近では口腔内を画像として直接取り込み、模型を作らずに補綴物を作ることができるようですし、義歯も3Dプリンターで作成する研究も行われているようです。当院には歯科技工士はいませんが、すぐそばに技工所があるので、いろいろと相談しています。一人より二人の知恵、長年の経験と匠の技。最近は技工料の問題や高齢化、仕事がきつい、などで歯科技工士になる人が減っています。でも機械に人間の微妙な感覚、感性が再現できるかどうか。ものづくりは単に形を作るだけでなく、魂を込めて健康を願う仕事だと私は思います。技工士さん頑張ってください。