歯科医師コラム

あの日から3年

'14.03.14

東日本大震災から3年が経ちました。秋田県にも未だ多くの被災者の方が暮らしております。復興まではまだまだ時間がかかりますが、風化させることなく安心して暮らせる時代になったと、将来の子どもたちに語ることができることが、大震災を経験した私たちの務めだと感じています。
以前、「大規模災害時における口腔ケア活動の意義と実際」というパンフレットを目にしました。大震災後、各歯科関係機関において、災害時の歯科保健医療に必要な体制づくりが進められています。その中で、阪神・淡路大震災(95年)における「関連死」の死因別割合をみると1/4の方が肺炎で亡くなっていました。肺炎の何割かは誤嚥性肺炎と言われています。避難所生活では口腔の衛生状態を保つのが難しいことも一因となって、特に高齢者で肺炎などの呼吸器感染症が増える危険性があるとのデーターがありました。災害時の口腔ケアの必要性については、多くの被災者が避難所などで集団生活を強いられるため、歯科的問題も起こってきます。避難生活が長期化すると、偏った食生活やストレスなどが原因で、虫歯や歯周病、口内炎、口臭など口腔内の問題が生じやすくなります。ライフラインの断絶で水が不足している場合、歯みがきやうがいなどの口腔清掃がおろそかになりやすく、これも問題発生の一因になります。また、高齢者の場合、口腔内を清潔に保たないと、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症が増加すると考えられます。そのため、近年は高齢者に対する口腔ケアを通じた肺炎予防が行われるようになってきています。
あの日の教訓を今後の啓発活動に生かすことが、私たちのこれからの役目だと考えております。